なぁなぁ、この間の話聞いてくれよ。実はさーこの間クリスと二人で買い物に行ったんだよ。 　あ、正確にはオイラが荷物もちで　ほぼあいつにつき合わされたんだけどさ。 　 　ん、珍しいだって？　オイラだって妹の買い物に付き合う日ぐらいあるんだからなっ。 　…もう、話ズレちゃったじゃんかっ　それでさ、クリスの行き着けの店か知らねーけど 　入った店の店員に声かけられたんだよ。そしたらさーその店員、何て言ったと思う？ 　 「あれ？クリスちゃん、今日は弟さんと一緒なの？」 　とか言われたんだぜ？！　弟だよ、弟ッ　オイラ兄貴だって！ 　…今、笑っただろ？オイラ見えたんだからな！　だーもう、笑うな。 　 　確かに、見た感じじゃあんまり分からないけど。 　 　これでも、妹と背が変わらないの…結構悩んでるんだぞ…。 　何で、沢山食べてンのに　身長伸びないんだろう…？ 　 　まぁ、成長期がまだ来てないのは　分かってるんだけど…　 　それにしても、何か、すんげー腹たった！ 　 　そうそうっ　腹たったっていえばさー。 　昨日、近所の餓鬼、ジャンと、ケンと、ポンがいるだろ？ 　 　あいつら、久しぶりに遊びに来た、とか言ってオイラの家に押しかけてきたんだ！ 　 　そんでさっ、遊びに来たと思えば…今度はジャンとケンが喧嘩しはじめたんだよ。 　本当、迷惑きわまりねーよ。 　どーして喧嘩し始めたんだ、だって？ 　コレだよ。ケンが持ってたぬいぐるみ…それをジャンが引っ張って 　右腕がとれちゃったんだよな…。 　で、口喧嘩してたからオイラが止めに入ったらさ、余計にややこしくなって。 　何故かオイラが　このぬいぐるみを直すはめになっちまったんだよー…。 　あいつ等、こういうときだけ息があっててさ 　口揃えて、「「直さないと、仲直りしない」」なんて言い出すんぜ？ 　 　でも、裁縫とかしたことないし…と、言うわけで…ルヴィ、お願いできるか？ 　だ・か・ら…そこを何とか！じゃあ、オイラに縫い方教えるだけでいいからさ？ 　 　いいじゃん、いいじゃん！減るもんじゃねーんだし、ルヴィのケチ、アホ。 　 　………えっ　いいの？　やったっ！じゃあ任せたぜ。オイラこれからバイトだから！ 　帰ってからおまえん家に取りにいくよっ　じゃあな！また後で。 　あ、あと、お礼に今度なにかあげるからな！ ＋　+　＋　+ 　平日の昼下がり、珍しくスティーの方から俺の家を訪ねてきた。 　どうやら話し相手がいなかったらしく、家に入るなり用意したお茶を一口も飲まず話し始る。 　 　スティーの様子を横目で眺め、相槌を打ちながら聞いてやる。 　クリスの買い物に付き合うなんて、珍しいな。 　 　そう言うと、少しだけムスくれて反論してくる。 　（本当すぐムキになるな、こいつは。） 　 　そんな事を心の片隅で思いながらも、俺は再びスティーの話に耳を傾けた。 　クリスと一緒に居たら誰だってコイツの事、弟と思っちゃうよな。 　何て思いながら、バレないようにフッと小声で笑ったのに　すぐさま「今、笑っただろ？」 　なんて言いながら、ジロリとスティーが睨みつけてくる。 　「笑ってない。」と口では言ったものの、我慢して堪えていた笑いがこぼれ、声に出して笑う。 　 　するとスティーは俺を横目で睨みつけたまま、また忙しそうに話し始めた。 　ジャン、ケン、ポン…？ああ、近所の小さい子達か。 　確か、スティーに懐いていた子達だよな。俺はあんまり知らないが。 　「喧嘩の原因はなんだ？」 　そう問うとスティーはズボンのポケットから、小さな可愛らしいぬいぐるみを取り出した 　見ると、ぬいぐるみの右腕から無造作に綿が飛び出している。 　あぁ…コレが原因か。"直さないと　仲直りしない"か…きっと二人とも意地を張っているんだろう。 　苦笑いをしつつぬいぐるみを眺めていると、スティーは両手を合わせて　ぬいぐるみを直して欲しいと頼んできた。 　「全く…お前が引き受けたんだから、自分でやれよ。」 　突き放すように言うと、今度は縫い方を教えろだの…挙句の果てには 　ケチ、だのアホ、だの俺に文句を言ってくる。 　「はぁ…分かった、分かったから。教えるから後は自分でやるんだぞ？」 　その瞬間、いきなりスティーが立ち上がりぬいぐるみを俺に押し付けるように渡すと 　バイトだから！　といってあっという間に部屋から出て行った。 　つくづく俺はこいつに甘いな…自分に飽きれつつも　渡されたぬいぐるみに糸を通す。 　「スティーが来る前に直しておかないとな。」 「また後で。」 また会える事が、俺の報酬…かな。

リハビリ短文。 随分前から溜め込んでいたくせに、中々進みませんでした。 低クオリティはいつものこと。 にしても、会話だけの文章って、すごく構成するのが難しいです。 次からはもうしない、絶対しない。 2009.02.03

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