「う、…ん。」 僕はまだ、眠たい目を擦りながらベットから降た。 冷え切った床の冷たさに思わずブルっと身震いをする。 もう一度ベッドに入りたいのをグっと我慢し、変わりに大きく背伸びをした。 今朝は一段と寒いな。なんでだろう? 気になって外の様子を伺うべく僕は、結露で外の見えない窓を寝巻きの袖で拭きとった。 透明になった窓ガラスからチラリと外を覗くと庭一面に雪景色が広がっている。 「どうりで、寒かったんだ…。」 もう一度窓の外をよく見ると、光の反射で雪の所々は淡い水色に見えきらきらと光っていた。 (わあ…綺麗。) 本当はお店の準備とかしなくちゃいけないんだけど、雪の綺麗さに誘われるみたいに外に出た僕は 気づけば自分の手にひんやりとした、白い雪をすくい眺めていた。 すくった雪は僕の体温で少しずつ融け、ぽたぽたと指の隙間から零れ地面へと落ちて行く。 雪が全部溶けるのを見届けると、今後はしゃがみ込んで地面の雪に直接触れてみた。 手から感じる感覚はやっぱり冷たいけど、それでも僕は夢中になって雪を触る。 「それにしてもこの雪の色、何かに似ているなあ…。」 昨日作ったレアチーズケーキ?それとも編みかけのレースのショール? 思い浮かべたものはどれも白いもののはずなんだけど、何か違うような気がして 僕は雪をかきあつめながら、ぐるぐると考える。 やがて答えが見つかったのと同時に僕の頬は真っ赤になった。 「そっか…この雪の色、龍の色に似ているんだぁ。」 だから窓から雪を見たとき、触れてみたいって思ったのかあ。 意識してない時でも、僕は龍のことで頭がいっぱいなんだ… そう思うと何だか可笑しなっちゃって、一人でクスクスと笑う。 そうだ、この雪で雪だるまをつくろう。 かわいいのがいいなぁ、龍の色に似ているからムシチョウでいいかな? それから僕は手が赤くなるのも気にも止めないで、真剣に雪遊びをし始めた。 *** 「うん、できた…!」 後は、目に南天の実をつければ完成かな。 我ながら、よくできた雪だるまを見つめながら満足げに頷いてると、聞きなれた声が後ろから聞こえた。 「何が出来たんだ?」 「へ…?」 どうして龍の声が聞こえるの? 後ろ振り返ると片手に、僕がいつも着ているコートを持った龍が立っていた。 そんな格好じゃ風邪ひいちゃうよ?そういって僕の肩にコートを掛けてくれた。 僕はと言うと突然の龍の訪問にビックリして、ただただ、唖然としているだけ。 「え、龍いつのまに?」 「いつのまにって…何度も声かけたんだけど、ゼフィルス気づかなくって。」「ところで、それ何?」 「え、これかい、えぇっと…。」 龍が来た瞬間。とっさにゆきだるまを手で隠したはずだったんだけど、やっぱり気づかれてたみたい。 まさか本人が来るとは思っわなくて、なんでもないよ。と笑顔で返した。 瞬間、雪を覆っていた手を龍に掴まれた。 「わぁ、ちょ、ちょっと龍…!」 「ん、雪だるま…?これ、もしかして俺、なのかな?」 「え、あぁ…そう、だよ。」 似てないよね、なんて言いつつも 恥ずかしくて龍の顔が直視できない僕は 視線を下へと落とす。 「上手、だね。」 「…ありがとう。」 暫く僕たちの間には沈黙が続いた。 僕の手をとったまま龍が動かないから、おかしいなって思って視線を合わせると 不意に顔が近づいてきて、軽く音を立て僕の唇に重なる。 龍の唇は冷えきった僕の唇とは違って、酷く温かかった。 「ほら、寒い中こんな薄着で雪遊びしているから、冷えてるよ。」 そんな龍が心配する言葉をかけても、僕は上の空状態でさっき起こった出来事を把握するのに精一杯だった。 よほど、僕の行動が可笑しかったのか龍は小さく微笑むと、もう一度僕に唇を重ねた。 「家に入ろうか、風邪引くよ?」 「…うん。」 もう、風邪なんてとっくに治ってるんだ、だって、龍が全部寒いのを溶かしてくれたから。 そう思いながら、前を行く龍に続いて 家へと入る。 Melt Snow ――――* 夢ノ内さん宅の龍くんをお借りしました。龍ゼフィハァハァ(自重しろ) 相変わらず、拉致するお子さんがことごとく偽者にoyz本当ゴメンナサイ…! でも、書いてた本人ものすごく楽しかったです!自己満足ってやつですね 分かります。 *** |