「やっべぇ…遅刻だ。」


 壁にかけられた時計に目をやると、約束の時間の10分前を指していた。待ち合わせの時間は、午 前11時…。

 現在の時刻は、午前10時50分…あ、針が動いたから51分か…。

 って、そんな事 ゆっくり考えてる場合じゃあ――――!

 あわてて着替えて、朝食の食パンを口に押し込みながら 全力ダッシュ。


 もう、走るのも面倒くさくなって 目一杯力をこめて 己の翼を 羽ばたかせた。

 ふわりと 地面から足が離れていく。





 カチリ…時計に目をやると また針が動いた。




 「はぁ…はぁ…ついた。」
 やっと待ち合わせ場所についた時間は 11時10分…。

 久しぶりに会う 親友は、少しほっぺを膨らませながら近づいて来る。

 「10分遅刻だよー!」

 「わりぃーっ アイゴ、遅刻しちまった!」

 「もう…仕方ないな。」

 本当、スーってば相変わらずだね。とこぼしながらも アイゴの顔は少しずつ笑顔になっていく。

 つられて、オイラの口角もゆっくりと上がっていき 二人同時に 久しぶりだね。と言っては 笑いあった。


 * * * *


 「そういえば、スー ケマリになったんだね?」

 アイゴは、オイラの背中で時折動く羽を 興味深そうに見ながら呟いた。

 「そうだぜっ 今日だって、空飛んできたんだ!」

 実は時間に遅れそうだったから 飛んできたんだ…とは、流石に言えず。
 ニッコリと笑いながら 自慢げにアイゴに己の羽を見せる。

 「いいなー。俺も空、飛んでみたいっ」

 「じゃあ、飛んでみる?」

 「へ…?」

 アイゴの返事も聞かず、後ろに回りこむと その身体を抱きかかえるようにして手を回す
 そして、うんっと羽に力を入れて、羽ばたかした。

 途端に、オイラ達の体は 重力を忘れたように ふわりと空中に浮かぶ。


 「わ、わああぁ! スーってばっ!」

 「大丈夫だってば、絶対アイゴを落としたりしねーから!」

 「そういう問題じゃなくって…。」

 「だから、しっかり捕まってろよっ そーれっ!」

 掛け声と同時に更に羽に力を加えると 空に向かってに高く、高く飛んだ。
 そしたら、アイゴは渋々 といった様子でため息吐くんだ。

 「…はぁー。」

 ほら、ね! 思わず予想道理の反応に、声を漏らして笑う。
 クスクスと悪戯めいて笑うオイラに やれやれと言った様子で アイゴが苦笑した。



 「随分…高い所まで来ちゃったね…。」

 下を見ると 地面から遠く離れて 辺りには青い空が続くばかりだった。

 「そうだなー でも、高い所の風って気持ちいだろ?」

 「うん、何だか新鮮だよ!」

 二人の髪をなびかせる風は、地面からでは感じられないすがすがしい風。
 見渡す限りの青い空、ふわりと漂っている雲。

 雲って美味そうだよな?

 そう言ったら、 アイゴがお腹を押さえながら笑い、スーは食意地ばっかりはってるよね。
 なーんて 言ったもんだから、思わず ムスくれる。


 「ごめん、ごめん。」

 口だけで謝るアイゴを、片手で軽く小突くと 大袈裟に頭を押さえる。

 「ざまぁみろっ!」

 「もー…」


 今度はアイゴが頬を盛大に膨らましては、ムスくれた。

 けど、そんな状態は 1分も続かず互いに目を合わせると
 ケラケラと 笑いあった。










Smile×Smile


(一緒にいるだけで、笑いあえるんだ!)



    「ねぇ、ところでさぁ。いつまでこうやって飛んでるの?」 
     「オイラが 飽きるまで!」 











――――――――*
架月 るみな様宅の アイゴ君をお借りしましたっ!
いつも、お世話になって いるので 恩返しをば…
と思って 書いたら、クオリティが 低すぎました。orz

親友って、一緒にいるだけで 笑ったりできる相手だと どくきのこは信じています←
アイゴくんの飼い主、るみな様のみ お持ち帰り許可です。
2008.07.25.どくきのこ